ある清々しい秋の日のこと。
「そろそろハロウィンだねー」
「楽しみだなー」
「こっちってハロウィンあんまり盛んじゃないみたいだけどさ」
「でも、せっかくだし、お菓子たくさん作って、仮装もしたいよね」
「そうだねー」
それを偶然廊下で聞いていたリゾットは、暗チメンバーを緊急招集した。
ホル「どうしたんだよ、リーダー。大きな任務でも入ったのか？」
プロ「全員招集なんてなかなか無いもんな」
ギア「危険な任務なのか」
リゾ「任務より重要なことだ」
イル（嫌な予感がする…）
リゾ「きたる10月31日、暗殺チームの総力を挙げて、ハロウィンイベントを開催する」
イル（的中した…）
ギア・プロ「はああああぁぁ？」
ジェラ・ペシ・ホル「ええええー！？」
ソル（ため息）
メロ「えー楽しそう♪」
リゾ「家政婦の２人がハロウィンをとても楽しみにしているようなんだ。だが、お前たちも知っての通り、イタリアではハロウィンのお祭りはあまり盛んではない。そこで、２人のために俺たちで盛大にハロウィンのイベントの企画しようと思う！そこでだ」
ホル「ちょちょちょちょ、待って、リーダー。もう全部企画練ってあるの？」
リゾ「そうだ」
イル（もうだめだ）
リゾ「続けるぞ。ハロウィンではいろいろな家を回ってお菓子をもらうが、イタリアではそれは無理だろう。そこで、我々が仮装して、街のそこここに隠れて待ち、２人に宝探しのように我々を探してもらうゲームをしようと思う。２人は俺たちを見つけたら、『dolcetto o scherzetto』という運びだ」
メロ「斬新で楽しそうだねー」
ホル「かくれんぼかーガキの頃以来やってねぇな」
ギア「なんでアイツらのためにそんなこっぱずかしいことしなきゃなんないんだよ」
リゾ「あの子たちは、俺たちのために、夏祭りを再現してくれたり、日本食を取り寄せてくれたりしているだろう。日ごろの感謝を込めてだ」
ソル「そう言われちまうとな」
ジェラ「衣装とかはどうするの？」
リゾ「すでに用意した！配役を発表する！」
イル（リーダー、いつになくグイグイ来るな…）
リゾ「ソルベ、悪魔。ジェラート、天使。お前たち２人は一緒にいてもらう」
リゾット、発表しながら、衣装を手渡していく。
ジェラ「やったわね、ソルベ」
ジェラート、ソルベの腕に抱きつく。
リゾ「ペッシ、フランケンシュタイン」
ペシ「はい、がんばります」
リゾ「ホルマジオ、ミイラ男」
ホル「包帯大変そうだなぁ」
リゾ「ギアッチョ、オオカミ男」
メロ「えー可愛い！似合う！！」
ギア「黙れ！死ね！」
リゾ「プロシュート、ドラキュラ」
ホル「ああ、はまり役だな」
リゾ「イルーゾォ、魔法使い」
イル（まあ、まともな方かな）
リゾ「メローネ、カボチャお化け」
メロ「なんで！？もっと派手なのが良かったのに！」
メローネ、泣きながらカボチャ頭を受け取る。
リゾ「そして、俺はネコだ」
黒いネコ耳のカチューシャを装着。
全員「えええええええええ！？」
ギア「リーダー、ネコ！？」
プロ「どこをどう間違ってそうなった…」
ホル「割と良い配役だったのに、ここで？」
ざわつくメンバーをよそに、リゾットは続ける。
リゾ「それぞれの隠れ場所を指定した地図は、これだ。２人には魔女の衣装を渡す予定だ。全員、当日までに２人に渡す、菓子類を用意しておくように。以上」
こうして、家政婦たちの知らないところでサプライズハロウィンパーティーの開催が決定された。


ハロウィン当日。
家政婦二人がいつも通りリビングに出てくると、リゾットがソファに座っていた。
「あれ？今日は早いね、リゾット」
リゾ「お前たちを待っていた」
（え？まさか解雇通告！？）
リゾ「そこへ座れ」
（クビだ…完全にクビだ）
リゾット、テーブルに紙を二枚並べる。
リゾ「『ドキッ☆ギャングだらけのかくれんぼハロウィン』（無表情・棒読み）」←メローネ命名
二人、ビクッとする。
リゾ「ということで、俺たちチームでお前たちに日ごろの感謝を込めて、ハロウィンイベントを開催することにした。俺たちが仮装して、街の中に隠れているので、二人も仮装をして、このヒントを参考に、俺たちを見つけ出してほしい。見つけた相手に例の言葉を言えば、お菓子が貰えるだろう」
「もう、クビかと思ったじゃん」
「こっちのほうがドキッとしたわ！」
リゾ「お前たちの衣装も用意した」
リゾット、魔女っぽい衣装を取り出す。
「えーせっかく用意してたのになあ」
「超夜なべして作ったのに」
二人、部屋から、衣装を出してくる。
両方とも白を基調にして、ダメージ加工が施されたドレスで、大量の血糊が付いている。
がハーフ丈でがロング丈だ。
リゾット、ビクッとする。
「これ着てっても良い？」
「イタリアってそういう文化ないから、外歩くのはヤバいかな？」
リゾ「いや、そこまで手が込んでいれば、衣装だと気づかれるから大丈夫だろう。暗くなる前に帰れば、平気だ」
二人「やったー」
リゾ「じゃあ、俺もお前たちが着替えている間に、隠れに行く。９時になったら家を出てくれ」
ネコ耳装着。
「まさかのネコチョイスｗｗｗ」
「大型ネコ出陣ｗｗｗ」
リゾット、リビングを出ていく。
「時間あるし、メイクも派手にしよっか」
「傷メイク用の特殊シールもこの日のために買っておいたよ！」
「抜かりない！」

すっかりゾンビの花嫁のように仮装した二人は、地図とヒント集を片手に家を後にした。
二人ともお菓子をもらう用のカボチャバスケットを持っている。
「最初、どこから行こっか」
「ヒントが簡単なところからにしよ」
ヒント集には以下のヒントが書かれていた。
イルーゾォの隠れ家
白猫の巣
キリストの血
ペッシの趣味
ウチなのに外
ギアッチョが壊すもの
メローネが売ってるところ
天使の像の写真が貼ってある
「あ、これわかる。メロンが売ってるのは、八百屋さんだから、市場じゃない？」
「何のひねりもなく、メローネがいるのかな？」
「いつも使ってる市場に行ってみようか？」
「そうだね」
二人、市場へ連れだって向かう。
「じゃあ、端から八百屋さん潰してく？」
「行ってみよっか」
人で賑わっている市場をきょろきょろしながら抜けていく二人。
かなりの人たちにじろじろ見られた。
「ここにもいないね」
「あっちも誰もいなさそう」
最後の八百屋さんに着いたときに、並んでいるカボチャの中に不自然なカボチャを発見した。
「これ、顔が彫ってある」
「ホントだ、怪しい」
「dolcetto o scherzetto!!」
メロ「えーもう見つかっちゃったの？　詰まんない」
ランタンの形をしたカボチャが動き出して、メローネが現れた。
「わーカボチャお化けだーってか、よくお店の人がその隠れ方許してくれたね」
「メローネ、あんまり八百屋さんとかと顔見知りじゃないのに」
メロ「飲み屋で知り合って仲良くなった友達なんだよ。それにしても二人ともすごい格好だね。超目立ってる。いいなー俺も派手な格好したかったのに」
「いつも派手だから、今日は良いでしょ」
「いいから、早くお菓子頂戴！」
メロ「ちぇーBuon　Halloween!」
メローネ、蛍光ピンクのクモ型のグミをくれる。
「わーすごくいらない！」
「わーすごくキモイ！」
メロ「あーあ、俺も仮装しに家に戻ろうかな」
「露出高すぎて捕まんないようにね」
「次、どこ行く？」
「『白猫の巣』ってことは、シロネコヤマト？
「ホルマジオがいるのかな？行ってみる？」
二人、シロネコヤマトの集配所に到着。
おばちゃんとお茶をしてるミイラ男を発見。
「あ、いたー」
「隠れる気ナシだなｗｗｗ」
二人、こっそりホルマジオの後ろから近づく。
ざわつくおばちゃんたち。
二人が口に人差し指を当てて、合図したので、知らないふりをする。
二人「dolcetto o scherzetto!!」
ホル「お、来たｎ…うわああああ悪魔ぁぁぁぁ！！」
ホルマジオ、椅子から転げ落ちる。
おばちゃんたち爆笑。
「違うよ、洗濯係だよ」
「飯炊き係だよ」
ホル「なんだ、お前らかよ。魔女の格好で来るんじゃなかったのかよ」
「さあ、早くお菓子をお出し」
「そうそう。まだ後がつかえてるんだから」
ホル「はいはい。Buon Halloween」
ホルマジオ、スナック菓子を二人に手渡す。
ホル「お前ら、本物と間違われてエクソシストに狩られるぞ」
おばちゃん「マジオちゃんが驚きすぎなのよ。おじょうちゃんたち、この飴もあげるわ」
二人「わーい、ありがとうございます」
二人はシロネコヤマトを後にした。
「次、どこにしよっか、写真のヒントのやつあったよね」
「この写真、どっかで見たような…あ、教会の裏に立ってたやつじゃない？」
「そうかも、とりあえず行ってみる？」
二人、近所の教会へ向かう。
「裏庭だよね。こっちのドアから回り込んで…」
ファニ「どジャアァァ〜〜〜ん」
「ぎゃああ！なんか出たああ！！」
ファニ「おや、君たちはこの間の掃除婦たちではないか」
「よく気付きましたねｗｗｗ」
ファニ「何がだ？ああ、そう言えば、今日はハロウィンか」
「言っていいんですか？trick or treat!!」
ファニ「こんなこともあろうかと。Happy Halloween!!これを君たちにあげよう」
ヴァレンタイン、アメリカ国旗柄のマシュマロを出す。
「うわ！恐い！」
「色ヤバい！」
ファニ「では、私は用事があるので、これで失礼」
「あー！待って下さい」
「これ、私たちが作ったものなんですけど、よかったら」
ファニ「ありがたく頂こう、では」
ヴァレンタイン、扉に挟まって消える。
「あの人、いつも神出鬼没だね」
「気を取り直して、行こうか」
中庭に回ると、天使と悪魔の格好をしたソルベとジェラートがヒントの写真の像の前に立っていた。
ジェラ「ぎゃああああああ！」
ジェラート、ソルベに飛びつく。
ソル「落ち着け、あいつらだぞ」
ジェラ「あらやだ?ホントだ。教会の陰から出てくるから、本物のゾンビかと思ったわ」
「二人とも超似合う！」
「わーい！dolcetto o scherzetto!!」
ジェラ「はい、Buon Halloween!」
ソルベ、オレンジと紫のリボンで可愛くラッピングされたマーブルクッキーを出す。
カボチャと紫芋のマーブルとチョコレートとカボチャのマーブルになっているものが混じっている。
「え、超かわいい」
ソル「ジェラートの手作りだ（誇らしげ）」
「姉さんの女子力！」
二人はソルベとジェラートに手を振って、教会を出た。
すると、ちょっと先に見知った後ろ姿を見つけた。
「あれ、ドッピオちゃんじゃない？」
「ホントだ！ドッピオちゃーん！」
二人、ドッピオに駆け寄る。
ピオ「うわああああああ！ゾンビーーーー！！」
「わあ、違うよ！だよ」
「そうそうだよ」
ピオ「え！？あ、お二人でしたか。びっくりした」
「ごめんね。ハロウィンだから」
???「おい、ドッピオ。誰だ、こいつら。気色悪いな」
ピオ「えっと、二人はこの間、うちを掃除しに来てくれた友達ですよ。さん、さん、こちらディエゴさんです」
ディ「へえ、俺が帰らなかった日だったな。ディエゴ＝ブランドーだ」
二人「よろしくお願いします」
（ポケチュウの人に似てるね）
（兄弟かな…）
ディ「聞こえてるぞ（イラッ）」
ピオ「じゃあ、ハロウィンなら、お菓子どうぞ」
「え、いいよー別に」
ピオ「今、買い出しに出たところなんで、ちょうどあるんですよ、どうぞどうぞ」
ドッピオ、マドレーヌを二人に渡す。
ディ「それなら、こっちもtrick or treatだな」
ディエゴがニヤリと口角を上げると、口元が深く裂けて、尖った歯が見えた。
ピオ「あ、ディエゴさん、ダメです、ダメです。こんなところでやめてくださいよ」
ディ「平気だろ。ハロウィンでこんなゾンビみたいなやつが歩いてるんだから」
ディエゴの腰から、太い尻尾が生える。
「鳥！萌えずにはいられないッ！」（気絶）
「こいつはやべぇッー！恐竜のにおいプンプンするぜッーーッ！！の鳥類萌えが恐竜にまで及んでしまったというのかァ！」
ディ「気持ち悪い」
「ほら、。大好きな恐竜さんにちゃんとお菓子あげて」
「はい、Happy Halloween…」
二人はディエゴに手作りのブラウニーを渡した。
「はい、ドッピオちゃんにもあげるね」
ピオ「ありがとうございます」
二人はドッピオとディエゴと別れ、次のヒントを探すことにした。

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