さて、気を取り直して、後半戦。
「このペッシの趣味、はわかるよね」
「釣りだから、海の方かな？」
「とりあえず、海に出てみよっか」
二人が港に出ると、埠頭の方で釣りをしている集団が見えた。
「あ、ペッシいるよ」
「体大きいからすぐわかるね」
釣りのおじさんの中に混じる、図体の大きいフランケンシュタインを発見。
「dolcetto o scherzetto!!」
ペシ「え！？姉貴たちなんですか！？」
「そうだよー。ペッシ、その格好似合うね」
ペシ「すごい格好なんでびっくりしちゃいました。はい、これ俺からのお菓子です」
ペッシ、カボチャや蝙蝠の形をしたキャンディを二人に手渡す。
「わぁ、かわいい、ありがとう」
ペシ「順調に進んでます？」
「今、ちょうど半分くらいかな」
ペシ「良い調子ですね、頑張ってください」
「ありがとう、じゃあね」
二人が埠頭を後にして、海岸沿いを歩いていると。
「あの特徴的な髪の毛は…」
「カビの人だ」
ディアボロが海岸に打ち上げられていた。
「また死んでる…」
「ほっといて大丈夫だよね。アラキ荘の人もそう言ってたし」
二人はディアボロを見なかったことにして、足早にその場を去った。


街の方へ戻り、二人はヒント集を見ていた。
「イルーゾォの隠れ家って何かな」
「鏡関係だよね？」
「駅前に大きな鏡なかったっけ？」
「でも、あんな人通りが多い所にイルーゾォいなさそう」
「確かに」
???「君たち…」
「うわあ！」
「吉良さん！？」
吉良「やっぱり君たちだったか。驚かせてすまない。そんな奇怪な格好で何をやっているのかな？」
「ハロウィンで、お菓子をもらって回っているんです」
「家主がゲームを企画してくれて」
「吉良さんお菓子持ってます？」
「trick or treat!」
吉良「む、甘いものなんて持っていたかな」
吉良、ポケットを探る。
吉良「あいにく、ガムくらいしかないが…」
吉良、粒ガムを一つずつくれる。
「わーいありがとうございます」
「もし、よかったら、これ、わたしたちが作ったので」
吉良「ありがとう、家に帰っていただくよ」
「あ、そうだ。吉良さん、鏡があるところに心当たりないですか？」
吉良「おおざっぱだな」
「あと、きらきら輝くものとか、ガラス細工とか」
吉良「ああ、それなら、パン屋を曲がったところの小道にあるアンティークショップがたくさんガラス製品を扱っていたな。確か大きな鏡も置いていたような…」
「じゃあ、そこに行ってみよう！吉良さんありがとうございました」
二人は裏道のアンティークショップへ向かった。
二人、店のショウウィンドウから中をのぞく。
「入りにくいね」
「高そう…」
二人が困っていると、奥の大きな鏡から魔法使いの姿をしたイルーゾォが出てきた。
「あ、いた！」
イルーゾォ、店から出てくる。
イル「…二人とも不気味すぎ。一瞬、本当に二人かどうか迷った」
「鏡から出てくると、本当の魔法使いみたいだね」
「dolcetto o scherzetto!!」
イル「はい、俺のはコレ」
イルーゾォは野菜のパウンドケーキを渡す。
「さすが、健康志向高めｗｗｗ」
「ねえ、イルーゾォ。『ギアッチョが壊すもの』がありすぎてわかんないんだよ」
イル「ああー」
「この間は、パン焼き機壊してたし、その前はシャワーヘッドでしょー。ゴミ袋はすぐ引きちぎるし」
イル「アイツ個人の持ち物で、よく修理に出してるやつだよ」
「もうちょっとヒント」
イル「これ以上は言えない。じゃあ、オレ鏡から帰るから」
イルーゾォ、鏡の中に消える。
「えー？何思いつく？」
「ギアッチョが修理に出してるのって、時計、自転車、メガネ」
「車、スマホ、靴」
「そんなもんかなあ」
「じゃあ、今近くにギアッチョが修理出してる車整備屋さんあるから行ってみる？」
「そだねー」
二人は車の整備店をのぞいてみたが、そこにギアッチョはいなかった。
続いて自転車店と靴屋を回ったが、そこにもギアッチョの姿はない。
「困ったねー時計とかスマホだと大きな電気屋さんになっちゃうし、眼鏡かな？」
「ギアッチョが行ってるメガネ屋さんって、古いとこでしょ？あそこのおじいちゃんと仲良くなかった？」
「じゃあ、そこかなあ？」
二人、近所のメガネ屋さんへ向かう。
メガネ屋さんをのぞくと、中の椅子にギアッチョが座っていた。
二人「見つけたー！！」
ギア「うぉお！なんだ、お前ら！キモチワルッ！！」
「ギアッチョ、超探したよー！」
「狼男モフモフ！」
ギア「触んな！」
「わー怒ったーかわいいーモフモフー」
ギア「やめろ！！」
「dolcetto o scherzetto!!」
ギア「おらよ」
ギアッチョはチョコレートの包みを投げてよこした。
「わーい」
店主のおじいさんに笑われているギアッチョを残して、二人は店を後にした。
「わーい、お菓子だいぶ溜まったね〜」
「作ったブラウニー、アラキ荘の人たちに届けに行こうか。会ってない人もいるし」
「そうだね、ちょうど近くだし」
二人はアラキ荘へ向かった。
がアラキ荘の呼び鈴を鳴らす。
ビーーーーッ
プチ「はい」
ガチャッ…
二人「こんにちはー」
バタン
「あれ？まさかの無視？」
「あの優しいプッチ神父が？」
ガチャ
プチ「悪魔よ、立ち去れ！」
水をぶっかけられる二人。
二人「うわぁあ」
プチ「なに！？聖水が効かないだと…！？こうなったら…」
プッチ、聖書とロザリオを取り出して、詠唱を始める。
「わー待って待って、悪魔じゃないです！」
「ゾンビでもないです！とです」
プチ「悪魔め、彼女たちの声を真似ようとも無駄だぞ…」
DIO「プッチよ…その二人は匂いが本物だぞ…。それに今日はハロウィンだろう」（暗がりから）
プチ「ハッ…！そうか、そうだった。すまない、二人とも」
「いえいえ、大丈夫です」
「気付いてもらえてよかった」
二人ともびしょ濡れでメイクが溶け落ちかけている。
DIO「聖水で化粧が流れて、余計にいい雰囲気になったな」（暗がりから）
プチ「すぐにタオルを持ってこよう」
「ああ、大丈夫です」
「ハロウィンなので、お菓子を渡しに来たんです。よかったら召し上がってください」
プッチにブラウニーを渡す。
プチ「ありがとう。お詫びも兼ねて、私からはこれを…」
プッチは棚からガレットを出してくる。
プチ「修道院で作っているものをちょうどもらってきたところだったんだ」
「わぁあ、修道院ガレットぉぉぉ！」
「絶対美味しいやつだ、これ！！」
二人は挨拶をして、次のヒントを探すことにした。
「あと残ってるのは『キリストの血』と『ウチなのに外』」
「キリストの血は、ワインっぽいよね」
「兄貴だな。ウチなのに外は、まったく意味がわからん」
「プロシュート探して、ヒント貰おっか」
「ワインなら、ワイン専門バーかな」
二人は近所のワインバーに行ってみることにした。
カランカラン
地下にあるバーの扉を開く二人。
プロ「おせぇぞ」
カウンターにドラキュラの姿で座るプロシュート。
手には赤ワインの入ったグラスを持っている。
「私は人間をやめるぞ！ーーーッ！！」（気絶）
「ダメだッ！血を吸われに行っちゃあダメだぜ、アンタ！！」
プロ「ほら、菓子だ。オレは帰るからな」
「まだdolcetto o scherzettoも言ってないのに、このイケメンが！！」
「わぁ、パリのマカロンだ！！じゃなくて、兄貴、ちょっと聞きたいことがあるんですけど！」
プロ「あ、なんだ？」
「あと、残ってるのがリゾットだけなんだけど、ヒントが『ウチなのに外』って意味分かんない感じで」
「なにかヒントを…」
プロ「ああ…一度、ふりだしに戻ってみることだな」
「それだけ？」
プロ「最大のヒントだぞ。じゃあな」
プロシュート、マントを翻して帰っていく。
「マントを翻して帰っていく吸血鬼な兄貴もまた素敵！」
プロ「お前の兄貴じゃねぇ」
「どうする？ふりだしってことは、家に戻ってみる？」
「そうだね。周りとか探してみよっか」
二人、ペッシからもらった棒付きキャンディを舐めながら帰る。
ネアポリスはもう夕暮れだ。
二人は家の周りをぐるぐるするが見つからない。
近所も回ってみたが、見当たらない。
「でも、『外』なんでしょ？」
「一応中も見てくる？」
家に入ると、ホルマジオがリビングから顔を出した。
ホル「リーダー見つかったか？」
「ううん。謎が解読できない」
「もうちょっとなんかヒントない？」
ホル「じゃあ、最大のヒントな。ベランダに出てみろよ、3階の方の」
二人は３階まで行ってベランダに出てみる。
「なんかあった？」
「なにも。海しか見えない。道路にも何もないし」
ホル「あー、今日は星が超キレイだなー（棒読み）」
二人、顔を見合わせて、上を見上げる。
すると、屋根から、大きな足が下がっているのが見えた。
二人「いたーーー！！」
「リゾット、みっけ！！」
「dolcetto o scherzetto!!」
リゾ「やっと見つかったか」
リゾット、屋根から下りてくる。
リゾ「Buon Halloween」
リゾットは、二人にアマレッティを渡した。
リゾ「下でみんながハロウィンパーティの準備をしてくれている。早く降りよう」
二人「やったー！」
こうして、チーム全員で仮装パーティを思う存分楽しんだ。



ジョル「ブチャラティ、今朝からずっと、向かいの屋根の上にリゾットがいるんですけど…」
ブチャ「お向居さんにはお向居さんの事情があるんだろう」
フー「でも、ネコ耳付けてるんですよ？！」

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