ある日、全員が夕食にそろう日があったので、家政婦は和食を紹介するディナーを用意した。 お吸い物、刺身、お豆腐料理など、おふくろの味から、懐石料理の様な一品まで、テーブルには所せましと日本食が並んだ。 普段はそれぞれ好きな飲み物を持ってくるが、今日は家政婦が日本酒を用意した。 「それじゃあ乾杯しようか」 「兄貴にお酌できるなんて死んでもいい！」 プロ「お前の兄貴じゃねぇ」 全員がお猪口を掲げて、乾杯した。 ジェラ「あら、やだわ。これは私、ちょっと無理かも」 ペシ「オレは飲んでみたら、意外といけます」 「悪酔いするといけないから、嫌いな人は無理しない方がいいよー」 「ギアッチョ気を付けなよ」 ギア「うるせーよ！」 メロ「すっきりしてるから、スイスイ行けちゃうなー」 お酒を堪能したところで、各々気になる料理に手をつけ始める。 ホル「おい、これ、もしかして、タコか！タコはだめだ。悪魔の魚だからな、絶対だめだ」 メロ「そう言ってる横で、リーダーは黙々とタコのから揚げ、口に詰め込んでるけどね」 リゾ「（もぐもぐ）」（…うまい） 「タコ、日本だとふつうに食べるんだよ、安くて、そんなに癖もないし」 「歯ごたえがあるから、顎が鍛えられるよ！」 ホル「リーダーだめだ！吐き出せ！呪われるぞ！」 ホルマジオ、リーダーの肩を掴んで揺さぶる。 リゾット咀嚼をやめない。 プロ「こんなゲテモノ食えるか！」 プロシュートが日本ではお馴染みの白い納豆容器を投げた。 「発酵食品だから、チーズの仲間ですよ！ビタミンKが豊富だし、血液サラサラ効果もあるんだよ！」 プロ「チーズと一緒にすんな！完全に腐ってんだろ！」 イル（これはなかなかイケる…健康にもいいならオレは好きだな） イルーゾォ、よく混ぜた納豆をスプーンで食べている。 ジェラ「血液サラサラなら、私も食べてみようかしら…」 そっと納豆の表面に被せられたビニールを剥がそうとする。 ジェラ「いやぁ！ねばぁって蜘蛛の糸みたいなのが！」 ソル「無理して食べる方が健康に良くないぞ」 ホル「ギアッチョ！ちゃんと食ってんのかよ！」（早くもちょっと酔ってる） 肉じゃがのこんにゃくを食べようとしているところをホルマジオに捕まりフォークから落とすギアッチョ。 ギア「てめぇ！こんにゃく落ちちゃったじゃねぇかよ！」 ホルマジオ、手近にあった昆布の佃煮に目を付ける。 ホル「お？これなんだ？」 「昆布だよ。海藻を甘辛く煮たやつ。ご飯に合うよ」 ホル「いいじゃねぇか！ギアッチョ食べてみろよ！」 ギア「いらねぇよ！てめぇが食えよ！」 メロ「ホルマジオ、ギアッチョのこと押さえてて！俺が食べさせてあげる！はい、あーん」 ホルマジオ、ギアッチョを馬鹿力で羽交い絞めする。 ギア「やめろよ！！」 口を開いた隙に、メローネが素早く昆布を突っ込む。 メロ「どう？どう、ギアッチョ、おいしい！？」 ホルマジオ馬鹿笑い。 ギア（…あれ？） ギア「…うまい？」 ホル「マジで！マジで？俺も食いたい！」 メロ「えーつまんなーい」 ジェラ「これって何？何かの実よね？ピンク色っぽいし、甘いのかしら？」 「これは梅干しって言って、梅の木の実を、酸っぱくつけたものだよ。日本では、抗菌作用があるから、お弁当に必ず入ってる。疲労回復効果もあるんだよ」 ジェラ「あら、健康にいいのね、食べてみるわ！」 たまたまそれを聞いていたプロシュート。 プロ「なかなか面白いな。俺にも一粒くれよ」 ジェラートとプロシュート、隣にいたペッシも梅干しを食べる。 ジェラ「これなら、私食べられるわ！酸っぱいけど、おいしい！」 プロ「…うま！なんだコレ！おい、ペッシ、お前もそう思…」 ペッシ「(×*×）」 食事も進んできたので、飯炊き係はシメのおにぎりを作り始めた。 「みんな、中身何がいい？」 ホル「昆布昆布！」 ギア「…昆布」 プロ「梅干し」 すると、視界の端でおにぎりを巻く用の海苔を勝手に食べているメローネが目に入った。 「ちょっと、メローネ！枚数そんなにないんだから、勝手に食べないでよ」 メロ「えーだって、リーダーはもっと大きいの食べてるもん」 「え！？」 メローネが指差す方を見ると、海苔１畳を端からそのままムシャムシャしているリゾットの姿が。 リゾットは一点をじっと見つめている。 「リゾット、まあいいけどさ、それ、本来、それだけで食べるものじゃないよ？」 リゾット「そうか。…もう１枚もらっていいか」 「…いいよ。好きなんだね」 メロ「ねえ、なんでオレはダメなのに、リーダーには優しいの！？なんで？ねぇなんで？」 こうして暗チの面々は、日本食と親しみ、翌朝、ギアッチョは言うまでもなく、ひどい二日酔いになった。 ギア「もう、ぜってぇ日本酒なんて飲まねぇ…」 ← 　lista 　→